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2012年11月16日

金 哲彦 ランナーの食事を科学する(第1回)

長距離ランナーを伸ばす理想の食材(文:金 哲彦)

箱根駅伝の選手として早稲田に在籍していた頃、瀬古利彦選手を育てた名伯楽の中村清監督からさまざまな薫陶を受けた。なかでも、今でもコーチングの柱になっていることがある。それは、「いい筋肉を作るにはいい肉を食べるべし」という教訓だ。

肉体的素質は遺伝で受け継ぐというのは一般常識である。確かに、親から受け継いだ“骨格”を変えることは難しいが、“筋肉の質”に関しては後天的な部分も大きい。とりわけ重要なのは、幼少からの育った環境とトレーニングと共にある食生活の影響である。実際、中村監督の指導では、ハードトレーニングの日走った距離や負荷に応じて上質のサーロインステーキが振る舞われた。「お前は今日の30キロよく頑張ったな!」と、監督自ら包丁を握り、巨大な肉塊から300グラムくらい切ってステーキを焼いてくれた。
箱根駅伝で優勝チームは全員、脂身を除いた上質の赤身牛肉を食べていたのである。優れた長距離ランナーの肉体的条件は、

①柔らかくて強靭かつ毛細血管が隅々まで行き届いた筋肉(筋肉)
②大きく強い心臓と柔軟な血管(心肺)
③酸素を運ぶヘモグロビンが十分に蓄えられたサラサラな血(血液)
④皮下脂肪が少ない身軽な身体(体重)

である。

いずれの要素にも食物としての牛肉が深く関わる。ただ肉を食べればいいのではない。より上を目指すのであれば、どんな質の牛肉を食べれば“優れたランナー”になれるかをもっと考えるべきであると思う。

<第2回につづく>
金 哲彦 ランナーの食事を科学する(第1回)
金 哲彦(きん・てつひこ)
市民ランナーからオリンピック選手まで、幅広いランナーから信頼されるプロフェッショナル・ランニングコーチ。駅伝・マラソン選手、実業団の監督経験を経て日本で初めての本格的なランニングクラブ「ニッポンランナーズ」を創設し、駅伝やマラソン中継の解説者としても活躍中。『体幹ランニング』(講談社)、『3時間台で完走するマラソン』(光文社新書)など著書多数。牧草牛ランナーでもある小谷和彦著『世界一の!「超楽」マラソン練習法』(大和書房)を監修。



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